障害者は正社員になれるのか、売り手市場だと思っていたら現実はそう甘くない

      2019/12/10

前に障害者の求人は法定雇用率の上昇のせいで売り手市場だ、という記事を書きました。
確かデータではそうなっているんです。

でもツイッターで実情を見ていくと障害者の求人状況がすごくよくなったという感じはしない。

給与や待遇の面で正社員で採用されたい人は多いが障害者求人の8割は契約社員だといわれています。
契約社員で入って、その後正社員登用のパターンが多い。

そして実情では「正社員で採用された、正社員登用で正社員になった」という人たちもいる中、以前として「正社員登用なんて可能性は0%だわ」という職場もある。
やはり正社員になるためのハードルは高いのが現状のようです。

これから正社員採用を目指して就職、転職を考えている方、または今の職場での正社員登用を考えている方、
どうしたら実現できるか、その方法を探っていきます。

 

正社員にこだわる障害者が多い理由

 

給料・待遇面

正社員になると給料と待遇面で大きな違いが出てきます。

障害者枠での採用→健常者より給料は安い。
契約社員での採用→正社員より給料は安い。

このふたつが重なればどうなるかはわかりますよね。

待遇面でもボーナスが貰えたり、有給休暇が取れるのは大きな違いです。

治療のため定期的に休みを取らなくてはいけない人にとって有給休暇があると経済的にとても助かりますよね。

正社員と契約社員では給料の差が大きいです。

障害者枠だとただでさえ給料が安いのに、さらに契約社員だと

家計のために給料、待遇(ボーナス、有給など)アップを目指して正社員になりたいという思いはみな同じ。

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雇用の安定

契約社員のままでは契約期間が終われば仕事がなくなってしまう可能性がある。
先行きの不安を感じながら働いている障害者の方は多いのです。

一方正社員になれば、その立場は労働法で保護されています。

正社員が解雇される理由は限られています。

  • 経営難で会社自体がなくなってしまった。
  • 解雇されてもしかたのない極端な違法行為をした。
  • 長年務めあげて定年になった。

このような場合だけです。

問題は障害者の正社員募集、正社員登用が少ないこと

正社員になるためのハードルが高いのはもともと正社員の雇用数が少ないためなんです。
ハローワークでの障害者の雇用状況を見て見ましょう。

ハローワークでの障害者の雇用状況

契約社員 86%
正社員 6%
パート・アルバイト 7%
トライアル雇用 1%

入社後、契約社員から正社員登用される割合も少ないです。

身体障害者 33%
精神・発達障害者 14%

これは身体障害者で3人に一人、精神・発達障害者では7人に一人、という割合でしか正社員登用されていないという事です。

契約社員採用のメリットもある

給料・待遇・雇用の安定という面ではデメリットしかない契約社員なのですが、実はメリットもあるんです。

入社してから職場の環境の悪さに気づく事は少なくありません。

無視される、簡単な仕事しかやらせてもらえないなど、仕事を続けていけないと思ったとき、正社員であればやめるストレスは大きいです。

この後の説明で触れますが「正社員で採用されたのにすぐに辞めた」という経歴はは次の転職の際にマイナスポイントになってしまいます。

その点契約社員ならやめやすいですし短いスパンでも転職を続けていけます。

正社員採用のデメリットもある

せっかく正社員採用されたのに、職場の環境が悪くて退職するとします。

これはあなたの経歴にはマイナスポイントです。

転職の際、面接の現場で「短い期間で正社員を辞めた理由」は必ず聞かれます。
正当な理由でやめたという事を理解してもらえるとは限りません。

障害者の正社員募集、正社員登用が少ない理由

障害者枠での正社員求人は、ほとんどが身体障害者狙い

障害者枠の正社員は、ほぼ全部が身体障害者狙いで9割以上の企業ができる限り身体障害者を採用したいと考えています。
そのため精神・発達障害者の正社員求人は特に少なくなっているのです。

理由は身体障害のように見た目でわかる障害は受け入れる側にとって理解しやすいためです。

障害者の場合離職率が高い。

企業側からすると短期間のうちにやめる可能性が高い人を正社員採用出来ない。
そのため契約社員として採用、その後正社員登用というパターンが多くなります。

離職率の高い障害者は正社員採用されにくいのです。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターの調査報告書(2017年4月)

障がい者の就職先での定着率(どれだけの人が辞めずにとどまったか)

就職後3カ月 80.5%
就職後1年 61.5%

一年後までとどまった人は6割。
つまり一年後までに4割の人が辞めていったというデータです。
このデータからも障害者の離職率が高いのがわかります。

障害者枠を満たすのが目的で雇用している企業

正社員登用する気は最初からないのに法定雇用枠を満たすために「正社員登用あり」といって契約社員で募集する企業があるのは事実です。

障害者雇用枠のデメリットは?

特に精神障がいの方で障害者雇用枠での就労はデメリットしかない、と言う人もいます。

障害者雇用枠で非正規社員として就労した場合正社員になれる可能性が低い

障害者枠での求人は契約社員、嘱託が多いです。
採用後にステップアップして正社員を目指せる環境かというと必ずしもそうではないようです。

たとえば学歴が高くてもなかなかそれを生かせる仕事をさせてもらえない場合もあるからです。

一般枠で就労した場合とどちらが学歴を活かせてステップアップ出来る可能性が高いかというとやはり一般枠の方になるでしょう。

障害者枠は給料が安い

最近の企業は障害者枠でも健常者と変わらない給料のところも出始めていますが、一般的にはやはり障害者枠の給料は安いです。

そのままでは昇給もあまり期待出来ないようです。
ステップアップするには正社員採用されるように転職するしかないようです。

 

正社員になるための転職

ここからは正社員のなるための方法を探っていきましょう。

障害者向け転職エージェントを使う

 

転職エージェントとは

転職エージェントとは人材を求めるユーザーと職を求めるユーザー(あなた)とをマッチングするサイト。

企業は希望する人材を転職エージェントから紹介してもらう。
ユーザー(あなた)は希望する企業を転職エージェントから紹介してもらう。

企業は希望する人材を紹介してもらうと転職エージェントにお金を払う。
ハローワークと違いお金をかけて求人するので希望する人材を集めやすいい。

ユーザー(あなた)は無料で転職エージェントを使える。

詳しくは

障害者向け転職エージェントでも契約社員募集が多いが

転職エージェントのアドバイザイーにはその会社の正社員登用の実績などの情報を教えてもらえる。

転職エージェントに登録すると専任のアドバイザーがつく。
最初から正社員採用の案件がなくても、アドバイザーに希望を伝えておけばマッチングする企業が見つかったときに教えてもらえる。

契約社員採用の案件でもその企業が積極的に正社員登用をしているかを調べてもらうことも出来る。

今の職場で正社員になるには

今の職場が働きやすいところであるならば、そこで正社員に登用してほしいですよね。

そのためにはまず正社員登用されそうな企業なのか調査が必要です。

どうすれば正社員になれるか

企業側はあなたの勤務状況を見て正社員登用を検討します。
安定して長く働いてくれるかどうかが重要なポイントになります。

安心感

「何年間も問題なく働いてくれている」という実績を積めば企業からは安心感を持ってもらえます。

付加価値

パソコンスキル、語学などの特別スキルがなくても付加価値は付けられます。
あなたがいると職場が明るくなる、これは大きな付加価値ですね。

正社員登用には安定した働き方による安心感とあなたがいる事で得られる付加価値が必要なのです。

やっぱり正社員になりたいですよね

探せばこんな案件もある。

がんばって「契約社員から正社員へ」のパターン。

まとめ

前に職を探す障害者にとって今は売り手市場という記事を書いてから一年たちました。


売り手市場なら、それまであった障害者が職を探すさいの色々な問題が改善されていくんだろうなと思っていたのですが、そうでもなかったですね。

障害者枠で働くひとたちの給料は多くなっているとは思えず、障害者枠かつ契約社員という立場の人たちは独立出来ない、親と同居でないと生活出来ないと悩んでいます。

また、みずから障害を持っていて、なおかつ高齢の親の面倒も見なくてはいけない人たちは正社員になって雇用の安定、給料アップ、待遇の改善を切実に願っています。

今回は「障害者が正社員になるために出来ること、すること」について調べてみました。
参考になれば幸いです。
最後までありがとうございました。


以上「障害者は正社員になれるのか、売り手市場だと思っていたら現実はそう甘くない」という記事でした。
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