障害者手帳とは
2020/05/19
あなたは障害者手帳を知っていますか?
知ってますよ。障害者の方達が持っている手帳でしょう。
なら、種類はいくつあるでしょう?
種類?ひとつじゃないんだ。
そう、ひとつではないんです。
実は障害者の方でも自分とは違う種類の障害者の方が持つ手帳についてはあまり知らないようです。
障害者手帳とはどんなもの?種類は、申請の仕方は、等級は、など詳しく調べてみました。
これから障害者手帳を取得しようという方はぜひ参考になさってください。
目次(見たいポイントに直行)
障害者手帳とはどういうもの
障害者手帳を持つ事によって身体障害、精神障害、知的障害を持つ人がその障害があることを公的に証明出来ます。
障害があることを証明出来るとなにかいい事があるの?
手帳によって障害があることを証明出来ると、障害者雇用促進法という法律に守られた就労が出来たり、電車、バスなど料金が割引になったり税金が安くなったりするんですよ。
障害者手帳の種類
●身体障害者手帳
●精神障害者保健福祉手帳(精神障害者用)
●療育手帳(知的障害者用)
障害者手帳はこの3つの種類があります。順番に解説していきますね。
身体障害者手帳とは
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき交付されるものです。
対象となる障害
視覚障害 |
聴覚障害 |
平衡機能障害 |
音声・言語機能障害 |
そしゃく機能障害 |
肢体不自由(欠損・機能障害) |
心臓機能障害 |
じん臓機能障害 |
呼吸器機能障害 |
ぼうこう又は直腸機能障害 |
小腸機能障害 |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害 |
肝臓機能障害 |
それぞれの障害ごとに等級(障害の度合い)の付き方が違います。(後述)
身体障害者手帳は、その障害が永続することを前提とした制度です。
一度交付されれば使い続ける事が出来ます。
精神障害者保健福祉手帳とは
精神障害者保健福祉手帳(せいしんしょうがいしゃほけんふくしてちょう)は、平成7年(1995年)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第45条により規定された精神障害を持つ人のための手帳。
精神障害者保健福祉手帳は発達障害の人にも交付される。
この手帳を申請するには医師による診断書が必要です。
他の2つの障害者手帳、(身体障害者手帳・療育手帳)には手帳のおもてにその名前が記載されていますが、精神障害者保健福祉手帳には「障害者手帳」としか記載されていません。
なんでだろう?
それは、精神障害者であることが周囲に知れてしまう事を嫌う精神障害者の事を配慮しているからなんです。
精神障害者保健福祉手帳の対象疾患
統合失調症 |
躁鬱病 |
非定型精神病 |
てんかん |
中毒精神病(有機溶剤などの産業化合物、アルコールなどの嗜好品、麻薬、覚醒剤、コカイン、向精神薬などの医薬品) |
器質精神病(精神遅滞を除く) |
その他の精神疾患(発達障害を含み、精神遅滞を伴うものを除く)その疾患のために長期にわたり日常生活、または社会生活への制限がある方。 |
手帳の有効期限
身体障害者手帳・療育手帳(知的障害者用)との大きな違いは運転免許証のように有効期限があるという事です。
2年ごとに医師の診断書と一緒に申請して審査をうける必要があります。
審査の結果、症状がよくなった場合は手帳が発行されないこともあり、そうなると公的には障害者として認定されなくなります。
つまり福祉的サービス、控除などが受けられなくなるのです。
療育手帳とは
知的障害のあることを証明する障害者手帳のことを療育手帳といいます。
療育手帳制度は身体障害者手等、精神障害者保健福祉手帳とは違って法律で定められた制度ではありません。
そのため療育手帳は自治体によって名称が違う場合があります。
●「愛の手帳」(東京都・横浜市)
●「愛護手帳」(青森県・名古屋市)
●「みどりの手帳」(さいたま市)
などです。
療育手帳の対象とする目安
●知的機能障害が18歳より前に認められ持続している
●知的検査によって測定された知能指数(IQ)が75以下(70以下に規定している自治体もある)
●日常生活に支障が生じるため、医療、福祉、教育、職業面で特別の援助を必要とする場合
療育手帳を必要とする手当
●障害児福祉手当(月額14600円)
療育手帳がなくても申請出来るが再認定時に療育手帳があれば手続きが簡単になる。
●特別障害者手当(月額26830円)
療育手帳がなくても申請出来るが再認定時に療育手帳があれば手続きが簡単になる。。
●心身障害者福祉手当重度心身障害者手当(月額2000円~15000円)
自治体によって療育手帳が必要になる。
●心身障害者医療費助成(医療費自己負担額が無料など)
自治体によって療育手帳が必要になる。
障害者手帳の等級について
それぞれの手帳の種類ごとに等級があります。
等級の違いによって税金の控除、公共料金の割引などが変わってきます。
障害年金の等級との関係
障害者手帳と障害年金とはまったく別のものです。
例えば精神障害者手帳の更新で3級から落ちた場合でも、それまで障害年金3級を受給していたものがなくなるわけではありません。
身体障害者手帳の等級
身体障害者手帳の等級は1~6級です。
●視覚障害
●聴覚障害
●肢体不自由(欠損または機能障害)
などそれぞれの障害と度合いによって等級が分かれます。
例えば聴覚障害の等級は2級、3級、4級、6級となっており1級、5級、7級はありません。
心臓機能障害だと1級、3級、4級。
体幹機能障害だと1級、2級、3級、5級。
視覚障害の等級
1級 | 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、きょう正視力について測ったものをいう。以下同じ。)の和が0.01以下のもの |
2級 | 1 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの |
2 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの | |
3級 | 1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの |
2 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上のもの | |
4級 | 1 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの |
2 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの | |
5級 | 1 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの |
2 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの | |
6級 | 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので両眼の視力の和が0.2を超えるもの |
その他の身体障害の等級について詳しくは→厚生労働省身体障害者障害程度等級表
精神障害者手帳の等級
精神障害者保健福祉手帳の等級は3つです。
1級 | 他人の援助がなければ生活に必要な事が出来ない状態。 着替え食事(作るのではなく食べること)、お風呂など体を清潔に保つことなど、 ひとりでは日常生活が出来ず、寝たきりのような状態。 病院に一人で通院出来る人には1級はいません。 |
2級 | 基本的な日常生活はひとりで出来るが、就労は困難な状態。 一人で外出は出来るが、誰かの助けや助言が必要になる場合もある。 |
3級 | 日常生活、社会生活にある程度、支障がある。 ひとりで生活は出来るがストレスがかかると出来なくなることもある。 |
3級程度の方は診断する医師によっては障害者とはみなされないで申請に必要な診断書を書いてくれない事もあります。
療育手帳の等級
療育手帳制度は身体障害者手等、精神障害者保健福祉手帳とは違って法律で定められた制度ではありません。
そのため等級も自治体によって名称が違う場合があります。
A1、A2、B1、B2だったり1級、2級、3級だったりします。
●東京都の場合
1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)
●大阪府の場合
重度「A」、中度「B1」、軽度「B2」
障害者手帳 等級変更
精神障害者保健福祉手帳だけは有効期限があり2年ごとに更新が必要です。
その更新のタイミングで等級が変更になることがあります。
場合によっては症状が改善されたことにより手帳の交付自体がなくなることもあります。
病気がよくなるのはいい事だけどそれまで受けられていた控除や割引がなくなるのは困るかも。
そうなんです。
医師の診断で症状は改善されたと判断されても、それですぐに健常者と同じように働けるとは限りませんからね。
障害者手帳 1種 2種の違い
障害者手帳の等級とは別に「 第1種、第2種」という区分があります。
手帳の中の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」に第1種又は第2種の記載があるのです。
「 第1種、第2種」でJRを利用するときに割引の違いがあります
ただし身体障害者手帳と療育手帳のみで、精神障害者保健福祉手帳にはこの区分はありません。
身体・精神・知的、各障害者手帳の申請のしかた
申請時に共通して必要なもの
●それぞれの障害用の申請書
●医師による診断書
●顔写真(タテ4センチ×横3センチの場合が多い)
●印鑑(申請書が自著であれば不要の場合もあり)
身体障害者手帳の申請
申請に必要なもの
●身体障害者診断書・意見書 (発行から1年以内のもの)
用紙はお住まいの区市町村の障害福祉担当窓口(区市の福祉事務所、町村の身体障害者福祉担当課)にありますので、事前に入手してください。
診断書の作成は「身体障害者福祉法第15条の指定」を受けている医師に依頼してください。(下記の「よくあるご質問」参照)
●申請する方の写真(縦4センチ×横3センチ、上半身で脱帽。デジタルカメラによる自己作成でも可ですが、写真用紙を使用してください。)
●交付申請書
用紙はお住まいの区市町村の障害福祉担当窓口にあります。
引用:→身障害者福祉センター
2016年(平成28年)1月1日以降、身体障害者手帳の申請には個人番号(マイナンバー)の記載が必要になりました。
精神障害者保健福祉手帳の申請
交付の手続きは各市区町村で行う。
本人又は家族が行うがあくまでも本人の意思のもと行われる。本人が反対すれば出来ない。
医師による診断書が必要だが最初に受診した日から六ヶ月を経過していなくはいけない。
療育手帳の申請
療育手帳の申請手順
●市区町村の障害福祉担当窓口、または児童相談所で、療育手帳取得の申請をする。
●心理判定員・小児科医による面接・聞き取り
●精神保健福祉センターで審査が行われ、区分が決定
●手帳の交付
障害者手帳 更新
精神障害者保健福祉手帳だけ2年という有効期限があるので更新が必要です。
交付された方は2年ごとの更新を忘れないようにしてください。
更新のタイミングで病状が改善したとみなされ障害者手帳が交付されなくなる場合もあります。
障害者手帳 写真
申請にはデジタルデータではなく写真用紙による写真が必要です。
縦4センチ×横3センチ、上半身で脱帽
障害者手帳のカード化
障害者手帳は紙製の手帳ですが2019年(平成31年/令和1年)4月1日の省令改正により「カード型」タイプの発行が可能となりました。
障害者手帳を持っていることで受けられる割引と控除
障害者手帳を持っている事で色々な障害者割引を受けることが出来ます。
● 交通機関の割引
●商業施設の割引
●公共料金の割引
さらに税金の控除も受けられます。
●所得税
●住民税
●自動車税
障害者手帳 医療費 無料
身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。) |
精神障害者保健福祉手帳1級の方 |
愛の手帳1度・2度の方(療育手帳) |
これらの方は心身障害者医療費助成制度(マル障)の対象になります。
その中で住民税非課税者の方は通院・入院に医療費が無料になります。
精神障害者だけ受けられなかった割引があった
以前は精神障害者に対して航空運賃の割引がされていませんでした。
全日本空輸(ANA)・ANAウイングス・AIRDO・ソラシドエア・スターフライヤーのANAグループ各社及びコードシェア便航空会社でも2019年1月から精神障害者に対して航空運賃の割引がされるようになった。
結構最近まで精神障害者に対しての割引がなかったんだね。飛行機代は高いから割引有りと無しじゃだいぶ違う。
障がい者手帳を持つことのメリット・デメリット
障がい者手帳を持つメリット
就職に関する事
障害者雇用促進法によって一定以上の規模の企業は法律で決まられた割合で障害者を雇用しなければいけません。
障害者手帳を持つことで障害がある事を公的に証明できる人は企業の障害者雇用枠で採用される機会があります。
国、地方自治体からの福祉的援助
国、地方自治体からの福祉的援助を受けるには障害者手帳が必要です。
この福祉的援助、利用出来るところは出来るだけ利用しないと勿体無いです。
●税金の控除
●公共の交通機関、施設の割引
障がい者手帳を持っていることのデメリット
客観的に見ると手帳を持つことのデメリットはないように思えますが、本人からすると手帳を持つことによって周囲からの差別や偏見などが心配になる事もあります。
しかし手帳を持ったことを公表する義務はありません。
まとめ
障害者手帳を取得する事の実質的なデメリットはないと言えると思います。
逆に税金や公共料金の割引などは受けないと損ですよね。
しかし心情的なデメリットは存在します。手帳を取得する事で自分が障害者だとハッキリ認識するのに抵抗があるひとも少なからず、いるのです。
一方で手帳を取得したいのに医師からの診断書を書いてもらえず困っている人もいます。
障害のために一般の人のような仕事が出来ず生活に困っている人からすると障害者手帳による控除や割引などはとても必要なものなんです。
以上「障害者手帳とは」という記事でした。
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