日本における障害者の就労状況 2023年版
日本における障害者の就労状況はどうなっているか見ていきましょう。
目次(見たいポイントに直行)
就労率
2020年時点で、障害者の就労率は45.5%でした。一方、一般の就労率は69.2%となっています。
障害者の就労率は、近年少しずつ上昇している傾向にありますが、まだ改善が必要な状況にあります。以下に、近年の障害者の就労率の推移についてまとめました。
厚生労働省によると、2013年における障害者の就労率は42.6%でしたが、2020年には45.5%に上昇しました。しかし、一般の就労率は69.2%と高く、障害者の就労率は依然として改善が必要な状況にあります。
また、就労率は障害の種類によっても大きく異なります。知的障害のある人々の就労率は2020年で28.3%、身体障害のある人々の就労率は58.2%、精神障害のある人々の就労率は23.7%でした。これらの数字からも、特に知的障害のある人々の就労支援が必要であることがわかります。
以上から、障害者の就労率は少しずつ上昇しているものの、まだ改善が必要であることが示されています。今後も障害者の就労支援に取り組み、就労率の向上を目指すことが求められます。
雇用形態
障害者の就労者のうち、正社員は28.7%、非正規社員は53.1%、自営業者は2.2%でした。一般の就労者のうち、正社員は63.5%、非正規社員は27.1%、自営業者は9.4%でした。
障害者の雇用形態については、近年変化が見られています。以下にその主な変化についてまとめました。
常用雇用の拡大
従来、障害者の雇用形態としては、非正規雇用が主流でしたが、近年は常用雇用の拡大が進んでいます。政府が推進する「障害者雇用対策計画」に基づく企業の取り組みや、障害者雇用に対する意識の高まりなどが背景にあります。
在宅勤務の拡大
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、在宅勤務が一般的になったことで、障害者の在宅勤務の機会が拡大しています。在宅勤務は、障害者にとって交通費の負担が軽くなったり、身体的な負担を軽減したりすることが期待できるため、雇用形態の多様化につながっています。
フリーランスや起業の機会の拡大
近年、フリーランスや起業家として自己雇用する障害者が増えています。これは、自分のペースで働くことができ、障害による制約がある場合でも自己責任で働くことができるというメリットがあるためです。また、政府が推進する「障害者自立支援法」に基づく自立支援の取り組みも、自己雇用につながる可能性があります。
以上のように、障害者の雇用形態には変化が見られており、より多様化している傾向があります。しかし、まだまだ改善が必要な課題も残されています。障害者の雇用形態を改善するためには、政府や企業、社会全体での取り組みが求められます。
障害者の職種
障害者の就労者の職種は、サービス業が最も多く、次いで製造業、卸売・小売業、医療・福祉・介護などとなっています。
詳しくは以下
パソコン関連業務 |
コールセンター業務 |
ビル清掃・保安業務 |
軽作業・物流業務 |
福祉関連業務 |
飲食店・レストラン業務 |
販売・接客業務 |
インターネット関連業務 |
アート関連業務 |
医療関連業務 |
障害の種類や程度によって、適した職種が異なるため、職業カウンセリングや職場のアセスメントが重要になります。
また、障害者が働く場合には、職場のアクセシビリティやハラスメント防止など、障害者に対する配慮が必要です。
障害者の収入
障害者の就労者の平均年収は約244万円でした。
(一般の就労者の平均年収は約408万円)
日本において障害者の収入は、障害の程度や就業形態、職種などによって大きく異なります。
公的支援制度として、障害者雇用促進法に基づく「雇用保険特別支援給付金」や、「障害者自立支援法に基づく「重度障害者生活支援」などがありますが、これらの支援は、障害者自身が生活や就業に必要な費用を補填することを目的としており、収入そのものを補填するものではありません。
就労者については、一般的に同じ職種で同じ勤務条件の場合、障害の程度に関わらず、同じ給与を受け取ることが原則です。ただし、障害者には身体的な負担やコミュニケーション上の支障がある場合があるため、時間給や生産性に応じた評価が困難な職種については、別途手当や支援が支払われることがあります。
なお、障害の程度によっては、就労が困難な場合や収入が少ない場合があるため、社会保障制度の改善や、障害者が自立した生活を送るための社会的支援が必要であるとされています。
就労している障害者の障害種別
日本における障害者の障害種別については、厚生労働省が定めた「障害者基本計画」に基づいて、以下のように分類されています。
身体障害者
身体障害者とは、先天的な肢体の欠損や機能障害、後天的な疾患や事故などによって、身体的な障害を持つ人を指します。
知的障害者
知的障害者とは、生まれつきの知能の発達不全や、幼少期に発生した病気や事故によって、学習能力や知的機能に障害を持つ人を指します。
精神障害者
精神障害者とは、精神疾患によって、思考や感情、行動に障害を持つ人を指します。うつ病や統合失調症、パニック障害などが含まれます。
視覚障害者
視覚障害者とは、先天的な眼球や網膜の異常や後天的な疾患、事故などによって、視覚に障害を持つ人を指します。完全に盲目である場合や、視力に大きな制限がある場合があります。
聴覚障害者
聴覚障害者とは、先天的な耳の異常や後天的な疾患、事故などによって、聴覚に障害を持つ人を指します。聴覚に大きな制限がある場合や、聴力が完全に喪失している場合があります。
言語障害者
言語障害者とは、先天的な発語機能の異常や後天的な疾患、事故などによって、言語の理解や表現に障害を持つ人を指します。発語機能の異常や言語の理解力に大きな制限がある場合があります。
以上のように、障害の種別によって、就労や生活に対する支援のニーズや方法が異なるため、適切な支援が必要とされています。
就労している障害者のうち、知的障害が最も多く、次いで身体障害、精神障害となっています。