身体・精神・知的、各障害者手帳の申請のしかた
以前「障害者手帳がもらえないなら担当医師をかえてみたら? 」という記事で障害者手帳がもらえなくて困っている人のことを書きました。
障害者手帳がないと、公的なサービス、税金などの控除が受けられないですし、障害者向け転職サービスに登録する事もむずかしくなってしまいます。
それなら「医師の判定で障害者手帳が出してもらえないのならその医師をかえましょうよ」という提案をした記事でした。
しかし障害者手帳に関する記事なのに障害者手帳申請に関する基本的な説明をしていませんでした。
そこで今回の記事は身体、精神、知的、各障害の手帳申請の詳しい説明をまとめてみました。
参考になれば幸いです。
目次(見たいポイントに直行)
障害者手帳とは?
厚生労働省によると障害者手帳とは
身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある者に対して、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が交付するもの
引用:厚生労働省
障害者手帳を持つメリット
- 障害者手帳を持つことで障害者として証明出来る
- 障害者手帳を持っていると障害者に対する支援やサービス、税金の控除などを受けられる
- 障害者雇用枠での就職では必要になる。
障害者手帳の種類は次の3つ
身体障害者手帳
身体障害者福祉法に基づき、体に疾病などあって日常生活や仕事に障害がある方に発行される。
精神障害者保健福祉手帳
統合失調症、躁鬱病、発達障害、非定型精神病、てんかん、中毒精神病、器質精神病(精神遅滞を除く)があり、
そのために生活に支障がある方に対して精神保健福祉法に基づき発行される。
療育手帳
基になる法律がないので全国一律の基準がなく各地方自治体ごとに違う。
基本的に知的障害がある子供に発行される
身体障害者手帳
取得対象疾患
視覚 |
聴覚 |
平衡機能 |
音声・言語 |
そしゃく |
肢体(上肢、下肢、体幹)不自由 |
心臓 |
じん臓 |
呼吸器 |
ぼうこう又は直腸 |
小腸 |
免疫(ヒト免疫不全) |
肝臓 |
国が認定した難病
「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づいて国が認定した難病も身体障害者手帳の対象になる。
亜急性硬化性全脳炎 |
脊髄性筋萎縮症 |
副腎白質ジストロフィー |
網膜色素変性症 |
球脊髄性筋萎縮症 |
筋萎縮性側索硬化症 |
脊髄小脳変性症 |
ハンチントン病 |
悪性関節リウマチ |
特発性大腿骨頭壊死症 |
広範脊柱管狭窄症 |
肺動脈性肺高血圧症) |
身体障害者等級
1級から6級までの等級がある。
6級に満たないものでも、2つ以上身体障害が重複すると組み合わせで7級が認められる場合もある。
精神障害者保健福祉手帳
取得対象疾患
統合失調症 |
うつ病 |
そううつ病などの気分障害 |
てんかん |
薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症 |
高次脳機能障害 |
発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等) |
その他の精神疾患(ストレス関連障害等) |
精神障害者等級
1級から3級までの等級がある。
療育手帳
取得条件
「知的障害あり」と判定されることが必要(児童相談所、知的障害者更生相談所で判定される。
一応「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」のガイドラインに基づいてはいるが、地域によって基準が違う。
地域によって療育手帳の名称も違う。
- 「愛の手帳」(東京都・横浜市)
- 「みどりの手帳」(埼玉県)
- 「愛護手帳」(青森県・名古屋市)など
知的障害等級
知的障害に等級はなく、重度「A」と重度以外の中軽度「B」の2種類しかない。
障害者手帳の申請
身体障害者手帳の申請
必要な書類
- 交付申請書
- 身体障害者診断書・意見書
- 印鑑 (申請書が自著であれば不要の場合もあり)
- マイナンバーがわかるもの (個人番号カード、通知カード、運転免許証、パスポートなどの身元確認書類)
(申請用の書類の名前は各市区町村により変わるので各窓口で聞いてください)
申請のながれ
- 市区町村窓口(福祉事務所や福祉担当課)で「身体障害者診断書・意見書」の用紙をもらってくる
- 指定医に「身体障害者診断書・意見書」を記入してもらう
- 市区町村窓口に、「交付申請書」、「身体障害者診断書・意見書」、写真を提出し申請する
(マイナンバーが必要、印鑑が必要になることもあり) - 申請から約1ヶ月〜4ヶ月で発行
障害再認定制度
身体障害者手帳は身体的な障害が永続的だと認定されて交付されます。
しかし身体障害の種類によっては治療などで障害の程度が変わることがあり再認定されることがあります
参考:厚生労働省 「身体障害者障害程度の再認定の取り扱いについて」
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は病院で初めて診察してから6ヶ月を経過して、初めて申請することができます
必要な書類
- 申請書
- 診断書(精神障害者保健福祉手帳用)または障害年金証書の写しなど(※)
- 顔写真(タテ4センチ×横3センチの場合が多い)
- マイナンバーがわかるもの(個人番号カードか、通知カード+運転免許証やパスポートなどの身元確認書類)
「障害年金」または「特別障害給付金」を精神障害枠で受給していて、そのことを証明する書類(年金証書など)があれば、診断書の代わりになります。
申請のながれ
- 市区町村窓口(福祉事務所や福祉担当課)で「精神障害者保健福祉手帳用診断書」の用紙をもらってくる
- 精神疾患の診察をしている主治医・専門医に「診断書」を記入してもらう
- 市区町村窓口に、「申請書」、「診断書」、写真を提出し申請。マイナンバーも必要
- 申請から約1ヶ月~4ヶ月で発行
更新手続きが必要
- 精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新する必要がある
- 有効期限の3ヶ月前から申請でき、必要書類と現在持っている手帳の写しが必要となる
- 有効期限内に精神障害が悪化した場合には、障害等級の変更を申請することもできる
療育手帳(18歳以上のひとが取得する場合)
必要な書類
- 療育手帳交付申請書
- 顔写真(タテ4cm×横3cmの場合が多い)
- 印鑑(申請書が自著であれば不要の場合もあり)
申請のながれ
- 市区町村の障害福祉担当窓口、または児童相談所で、療育手帳取得の申請をする(18歳以上の場合は知的障害者更生相談所での判定となる)
- 知的障害の判定を受けるための予約の申し込み
- 心理判定員・小児科医による面接・聞き取り
- 判定結果に基づき、精神保健福祉センターで審査が行われ、区分が決定
- 判定から約1ヶ月後に手帳が交付される
成人更新
子どもの頃取得していた療育手帳を、18歳以降も使い続けたい場合は、児童の手帳から成人の手帳へ更新(成人更新)を行う必要がある。
詳しくは市区町村の窓口にお問い合わせください。
数年ごとに再判定が必要
知的障害は、成長するにしたがい障がいの程度が変わる可能性があるために再判定が必要。
各自治体でsその期間は違い2年~5年ごとの場合もあれば、東京都のように3歳・6歳・12歳・18歳時点としている自治体もある。
障害者手帳を持つメリット
医療費の助成 | 18歳以上の身体障害者の医療費負担を軽減 |
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車いすや補聴器などの補装具の助成 | 購入や修理の場合、自己負担は原則1割、9割を市区町村が助成してくれる |
リフォーム費用の助成 | 障がい者の住環境を改善する住宅リフォームの費用の助成 |
所得税・住民税・自動車税などの控除 | 「障害者控除」、「特別障害者控除」、「同居特別障害者控除」 障がい者が所有する自動車の、自動車取得税・自動車税・軽自動車税の減免 |
公共料金の割引サービス | 公共交通機関を利用するさい身体障害者手帳の提示で運賃割引を受けられる。 |
携帯電話会社の料金割引サービス | NTTドコモのハーティ割引、auのスマイルハート割引、ソフトバンクのハートフレンド割引など |
障害者枠での雇用 | 企業の障害者雇用枠の求人に応募するには障害者手帳が必須 |
まとめ
以前、法定雇用率の引き上げで障害者の求人は売り手市場だという記事を書きました。
企業の障害者枠の求人に応募するのに障害者手帳は必ず必要です。
また障害者向けの就職・転職エージェントに登録する場合も障害者手帳が必要になる事がほとんどです。
住民税・所得税の控除など各種の障害者控除を受けるためにも障害者手帳は必ず必要です。
以上「身体・精神・知的、各障害者手帳の申請のしかた」という記事でした。
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