週20時間未満の超短時間労働者でも就労の機会があるショートタイムワーク制度

   

週20時間から30時間未満勤務を短時間労働者というが、精神に障害を持つ人の中には週20時間でさえ働けない人がいる。

そのような週20時間以下の超短時間労働者を雇う企業はこれまではなかった。

しかしショートタイムワーク制度によって週20時間以下しか働けない超短時間労働者を採用する動きが出て来ている。

ショートタイムワーク制度とは

ソフトバンク資料:
障害のある方の超短時間雇用制度

週20時間以上働けない精神障害を持つ人は就労が困難だった。
(ADHD、自閉症スペクトラム、双極性障害、アスペルガー症候群、統合失調症、うつ病など)

企業の障害者雇用枠

週20時間に満たない障害を持つ労働者は企業に雇用されても法定雇用率算定の対象にならない。
そこで企業としては法定雇用率を満たすために週20時間以上働ける障害者を採用することになる。

精神の障害のため週20時間以上働けない労働者はアルバイトやパートの仕事をするしかなかった。

そんな人たちでも超短時間労働で就労出来る制度がショートタイムワーク制度なんです。
(超短時間労働でもアルバイトやパートではなく社員として雇うということ)

ソフトバンク主導で導入

ソフトバンクはショートタイムワーク制度を2016年5月23日から導入している。
2018年2月時点で累計24名がこの制度を活用している。

超短時間雇用制度、週20時間未満勤務で採用

ソフトバンク資料:
ショートタイムワーク制度の実際

週1日の勤務でも採用するので就労支援施設を終えたばかりの人でも就労出来る。

採用基準

●依頼業務を遂行できるか
●自身の障がいや、発症時の対処法についてきちんと理解している
●質問に対する最低限の受け答えができる
●PCを使ったことがある機密情報を守ることができる
出典:ソフトバンク資料http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/plan/koyou/7softbank.pdf

 

ショートタイムワークに向く業務

●作業フローが確定している定例業務
●単純作業
●特定スキルのみで出来る業務。

ショートタイムワークが広まる要因

週20時間未満のショートタイムワークで採用された人は業務に慣れてくると週20時間以上の業務に移行出来る割合が高いのが確認されている。

週20時間以上の労働者だと法定雇用率にカウント出来る。

障害者雇用枠のカウントの仕方の変化

それまでは週30時間以上(フルタイム)で働ける人が「1」、20時間から30時間の短時間労働者は「0.5」でカウントされていた。

つまり短時間労働者を雇った場合はフルタイムで働ける人の2倍の人数を雇いいれないと法定雇用率を満たすことが出来なかった。

精神障害者である短時間労働者に関する算定方法の特例措置

精神障害者である短時間労働者の法定雇用率のカウントの仕方が特別措置で変わる。

この特例措置で平成30年(令和元年)4月1日から精神障害者である短時間労働者を1としてカウント出来るようになった。

資料→
精神障害者である短時間労働者に関する算定方法の特例措置Q&A

要件① 精神障害者である短時間労働者(障害者雇用促進法における短時間労働者)であること
要件② 次のa又はbのいずれかに当てはまる者であること
a新規雇入れから3年以内の者
b精神障害者保健福祉手帳の交付日から3年以内の者
要件③ 次のa及びbのいずれにも当てはまる者であること
a平成35年(令和5年)3月31日までに雇い入れられた者
b平成35年(令和5年)3月31日までに精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者

 

今回の措置がとられた主旨

精神障害者の職場定着率は週20時間から30時間勤務の短時間労働者がもっとも多い。
また短時間労働者として採用された精神障害者が週30時間以上のフルタイム勤務に移行する割合が大きい。
つまり採用の枠は広く短時間労働者で取って、フルタイム勤務に移行するのを期待するという考え方。

今回の措置の期間

(令和5年)3月31日までとなっているが、その後継続するのかは未定です。
今回の措置の効果をみて判断するようです。

ショートタイムワーク実際の導入の仕方

ここまで週20時間以上勤務と法定雇用率のカウントとの関係についてみてもらいましたが、ここでまた超短時間労働ショートタイムワークの話に戻ります。

実際にどのようにショートタイムワークが機能するのかみていきましょう。

一般社員の業務の中から定型的な業務を切り分ける。

一般社員の業務を分析して定型的な業務があれば、それを切り出す。(一般社員は定型的な業務をしないで済むようにする)

例えばエクセルを使った定型的な業務があればそれを切り分ける。
結果、一般社員は定型的な業務をやらないで自分が担当している業務に専念出来る。

定型的な業務をショートタイムワークスタッフに割り振る

切り分けられた定型的な業務、この場合はエクセルでの作業。
それをエクセルが得意なショートタイムワークスタッフに任せる。

人とのコミュニケーションが苦手なショートタイムワークスタッフでも自分の得意な業務に専念する事が出来るのだ。

ショートタイムワークの求人は実際にあるのか?

「ショートタイムワーク制度」を導入している企業が100社を超えた。


アイピースタージャパン株式会社
株式会社あしか
株式会社ants
インテルサット
VALT JAPAN株式会社
ウェルビー株式会社
株式会社衛生ネットワーク、エーアンドエー株式会社
SBアットワーク株式会社
株式会社エヌ・エイ・シー
株式会社エムエム総研
有限会社エルピス社
オーエム通商株式会社
有限会社川田製作所
株式会社GIVE&GIFT
ケーアールケープロデュース株式会社
興栄商事株式会社
コスモシステム株式会社
株式会社JTE
シャープ株式会社
杉本食肉産業株式会社
株式会社Studio Gift Hands
ストップイットジャパン株式会社
株式会社スマイルワン
株式会社セールスフォース・ドットコム
ぜんち共済株式会社
株式会社TABIJI
株式会社チャレンジドジャパン
株式会社電通
トヨタループス株式会社
株式会社ドルフィン・エイド
日本サテライト・コミュニケーションズ株式会社
ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社
パーソルチャレンジ株式会社
株式会社博報堂
株式会社hugmo
株式会社HINOMARU-ATHLETE
華為技術日本株式会社
株式会社ヘラルボニー
株式会社マイン/マインメンタルヘルス研究所
ミナミ金属株式会社
株式会社宮城通信機
ミンナのミカタぐるーぷ株式会社
株式会社Melk
株式会社リブセンス
株式会社LEOC

週20時間以上30時間未満の求人情報なら見つかるが

実際に障害者向けの転職サイトでショートタイムワークの求人が見つかるかというと、まだまだのようです。

週20時間以上30時間未満の求人情報なら見つかるがアルバイト・パートの採用以外では超短時間労働の求人は簡単には見つかりません。

障害者向け転職エージェント

自分で検索する障害者向けの転職サイトでは見つからなくても障害者向け転職エージェントに登録してキャリアアドバイザーに相談すればショートタイムワークの求人が見つかるかもしれません。

自分は超短時間の働き方しか出来そうもないのでショートタイムワークで採用してくれる企業を紹介して欲しいと相談するのです。

いくつかの転職エージェントに登録して、ショートタイムワークの求人に詳しいキャリアアドバイザーを見つける作業が必要になりますね。

まとめ

週20時間以上の勤務では体調をくずしてしまう人は確かにいます。

勤務時間に対応が難しくて就労出来ない人にとってショートタイムワーク制度は朗報ですよね。

短時間でもコツコツと集中して作業をするのが得意な人には向いている働き方だと思いました。

まだまだ一般の求人情報サイトなどでは簡単に目にする事のないショートタイムワークだが徐々に採用する企業も増えています。

これからに期待していきましょう。


以上「週20時間未満の超短時間労働者でも就労の機会があるショートタイムワーク制度」という記事でした。
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